ビタミンにはたくさんの種類がありますが、ビタミンBという成分を聞いた事のある方も多いのではないでしょうか?
しかし、実際にはビタミンBという成分は無くビタミンB群と総称して呼ばれています。
では、ビタミンB群にはどんな種類があるのか?
そして、どんな効果があるのか?
ビタミンB群を多く含む食品などと合わせて解説していきます。
ビタミンB群とは?
ビタミンB群(vitaminB)は、水に溶けやすい水溶性のビタミンで8種類の成分の総称です。
主に、体のエネルギーを作る手助けをするという共通の役割を持ちます。
しかし、単体だけでは効果が発揮されにくく、お互いに活動を補い合う事からビタミンB群、またはビタミンB複合体
と呼ばれています。
ビタミンB群の種類
ビタミンB群に含まれる成分は全部で8種類あります。
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン
- パントテン酸
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- 葉酸
- ビオチン
それぞれ水溶性の性質とエネルギーの産生を助ける共通の働きをもち、さらに個々にも特有の効果と働きを持っています。
ビタミンB群の効果と働き
ビタミンB群の代表的な効果は、生体内においてエネルギーの産生を手助けする補酵素としての機能です。
酵素とは、私たちが生きていく上で欠かす事のできない重要な物質で、食べ物の消化吸収や体の代謝に関わる働きをしています。
その酵素の働きを手助けする、補酵素としての役割を持つのがビタミンB群です。
疲労回復にビタミンB群
ビタミンB群は、体内でエネルギー代謝をスムーズに行うために欠かすことのできない栄養素です。
ビタミンB群であるビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸はエネルギー代謝を行うサイクル(TCA回路)内で、それぞれの役割は違いますが重要な役割を持っています。
どれか一つでも欠けると十分なエネルギー代謝を行う事ができず、疲労感や肩こりなど健康維持に影響を及ぼします。
ビタミンB群に老化防止の効果
ビタミンB群には抗酸化作用、いわゆる老化防止効果もあります。
まず、ナイアシンには体内で使用された抗酸化物質に再び力を与える働きがあり、体の老化を防止する抗酸化作用に効果があります。
また、ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸には、細胞や血液中の脂質の酸化を抑制する働きがあります。
そのため、血管や細胞の若さと健康を維持すると共に、動脈硬化の予防効果もあります。
さらに、ビタミン2は別名「美容ビタミン」とも呼ばれ、代謝を促進して皮膚や粘膜、毛髪の再生を正常に保つ働きがあるため、全身を若く美しくしてくれる効果があります。
ビタミンB群は、老化防止にも効果を発揮する栄養素です。
成分別の効果一覧
ビタミンB群に含まれる8種類の成分は、それぞれ特有の働きも持っています。
成分別の主な効果一覧をご紹介します。
成分 | 効果 |
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ビタミンB1 |
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ビタミンB2 |
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ナイアシン (ビタミンB3) |
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パントテン酸 (ビタミンB5) |
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ビタミンB6 |
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ビタミンB12 |
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葉酸 |
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ビオチン |
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ビタミンB群不足の症状
ビタミンB群はとても不足しやすい栄養素です。
ビタミンB群は、代謝やエネルギー産生に関わる栄養素ですので、不足すると疲れやすくなったり、寝ても疲れがとれない、集中力の低下、肌荒れ、イライラ、風邪を引きやすいなどの欠乏症をおこす可能性があります。
また、ビタミンB群は、8種類の成分の打ちどれか一つが欠けるだけでも上手く機能しなくなりますので、バランスの良い摂取を心掛けましょう。
ビタミンB群が不足しやすい理由
ビタミンB群が不足しやすい理由を、ここで少し説明しておきます。
- 水溶性ビタミン
- 消費量が多い
- 食品の変化
ビタミンB群は水に溶けやすい水溶性のビタミンのため、排出されやすく体に貯めておく事ができない。
ビタミンB群はストレス・飲酒・喫煙・加齢・運動・過食など、あらゆる場面で消費され不足しやい。
現代の食品は、精製・加工・保存において含まれるビタミン群が減少傾向にあると言われている。
成分別の欠乏症一覧
成分 | 不足の症状 |
---|---|
ビタミンB1 |
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ビタミンB2 |
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ナイアシン (ビタミンB3) |
|
パントテン酸 (ビタミンB5) |
|
ビタミンB6 |
|
ビタミンB12 |
|
葉酸 |
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ビオチン |
|
ビタミンB群の多い食品(含有量)
ビタミンB群は、穀物、肉、魚介類、野菜など多くの食品に含まれています。
それぞれ多く含まれる食品(含有量)と、1日の推奨量(必要量)を合わせてご紹介します。
ビタミンB1
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
1.4mg | 1.1mg |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 酵母(パン・乾燥) | 8.81mg |
2位 | 小麦胚芽 | 1.82mg |
3位 | ひまわりの種 | 1.72mg |
ビタミンB1を取りやすい食品
一般的に、ビタミンB1を取りやすい食品は豚肉です。
特に、豚ヒレ肉には100gあたり1.32mgのビタミンB1が含まれており、1日の必要量をおおよそ摂取する事ができます。
ビタミンB2
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
1.6mg | 1.2mg |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 白鮭(めふん) | 6.38mg |
2位 | 豚(レバー・燻製) | 5.17mg |
3位 | 酵母(パン・乾燥) | 3.72mg |
ビタミンB2を取りやすい食品
ビタミンB2は、動物食品のレバーや魚介類、卵に比較的多く含まれています。
また、納豆も1パック0.28㎎とビタミンB2が豊富な食材の一つです。
ナイアシン(ビタミンB3)
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
15mgNE | 11mgNE |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | まいたけ(乾燥) | 64.1mg |
2位 | たらこ(生) | 49.5mg |
3位 | コーヒー(インスタント) | 47.0mg |
ナイアシンを取りやすい食品
ナイアシンは、魚介類やきのこ類に比較的多く含まれています。
また、インスタントコーヒーにも多く含まれているので、日々コーヒーを飲むのもオススメです。
さらにナイアシンは、体内でたんぱく質から合成されるので、たんぱく質を摂っていれば欠かす事はありません。
パントテン酸(ビタミンB5)
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
5mg | 4mg |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 鶏(レバー) | 10.10mg |
2位 | しいたけ(乾燥) | 7.93mg |
3位 | 豚(レバー・燻製) | 7.28mg |
パントテン酸を取りやすい食品
パントテン酸は、動物性食品、植物性食品ともにまんべんなく含まれています。
通常の食事をしていれば不足する事はありません。
ビタミンB6
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
1.4mg | 1.2mg |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 唐辛子(果実・乾燥) | 3.81mg |
2位 | ニンニク(粉) | 2.32mg |
3位 | バジル(粉) | 1.75mg |
ビタミンB6を取りやすい食品
一般的に、ビタミンB6を取りやすい食品は魚介類です。
特に、マグロやカツオに多く含まれています。
また、ニンニクにも1個あたり0.96mgのビタミンB6が含まれており、摂取しやすいオススメの食品です。
ビタミンB12
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
2.4ug | 2.4ug |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 白鮭(めふん) | 327.6ug |
2位 | あまのり(ほしのり) | 77.6ug |
3位 | いわし(田作り) | 64.5ug |
ビタミンB12を取りやすい食品
ビタミンB12は、魚介類に多く含まれています。
特に、しじみ、あさり、赤貝などの貝類にはビタミンB12が豊富に含まれています。
しかし、野菜類にはほとんど含まれないので、ベジタリアンの方はビタミンB12不足の注意が必要です。
葉酸
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
240ug | 240ug |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 酵母(パン・乾燥) | 3,800μg |
2位 | あまのり(焼き) | 1,900μg |
3位 | 味付けのり | 1,600μg |
葉酸を取りやすい食品
葉酸は、肉や野菜など全般的に含まれており、不足の心配はほとんどありません。
オススメの食材は枝豆で、100gあたり260μgの葉酸が含まれており、1日の必要量を摂取する事ができます。
ビオチン
1日の推奨量 | 成人男性 | 成人女性 |
---|---|
50ug | 50ug |
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 酵母(パン・乾燥) | 309.7μg |
2位 | 鶏(レバー) | 232.4μg |
3位 | からし(粉) | 158.1 μg |
ビオチンを取りやすい食品
ビオチンは、レバーや卵など動物性食品に多く含まれています。
また、ナッツなど種実類や、からしなどの調味料にもビオチンは含まれています。
ビタミンB群の過剰摂取と副作用
ビタミンB群に含まれる8種類の成分は、水溶性の性質を持っています。
水溶性のビタミンは水に溶けやすいので、体外に排泄されやすい特徴があり、過剰摂取による副作用などは基本的にありません。
ただし、まったく無いというわけではなく、成分ごとに注意が必要な場合がありますのでご紹介します。
成分別の過剰症一覧
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン(ビタミンB3)
- パントテン酸(ビタミンB5)
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- 葉酸
- ビオチン
通常の食生活では過剰症の心配はありません。
ただし、サプリメントなどで推奨量の男性1.4㎎・女性1.1㎎を超える量を長期的に摂取した場合は、頭痛、イライラ、かゆみ、接触皮膚炎などの症状が発生する場合があります。
必要のない分は速やかに排泄されるため、過剰症の心配はありません。
ただし、人によっては大量摂取により下痢、多尿の症状をおこす可能性があります。
通常の食生活では過剰症の心配はありません。
ただし、薬剤やサプリメントなどで大量摂取した場合は、消化不良、ひどい下痢、肝機能低下、劇症肝炎、皮膚炎などの症状が報告されています。
過剰症の心配はありません。
ただし、薬剤やサプリメントなどで大量摂取した場合に、吐き気、食欲不振などの症状をおこす報告例があるそうです。
通常の食生活では過剰症の心配はありません。
ただし、ビタミンB6作用をする化合物のうちピリドキシンのみを長期的に大量摂取した場合は、感覚性抹消神経障害の発症が報告されています。
また、最近の研究ではビタミンB6サプリメントの長期摂取と大量摂取で、男性の肺がんリスクが上昇する可能性が報告されています。
必要のない分は吸収されないため、過剰症の心配はありません。
しかし、最近の研究ではビタミンB12サプリメントの長期摂取と大量摂取で、男性の肺がんリスクが上昇する可能性が報告されています。
通常の食生活では過剰症の心配はありません。
ただし、サプリメントの葉酸(モノグルタミン酸型の葉酸)の場合は、大量摂取により神経障害、発熱、じんましんなどの症状が報告されています。
必要のない分は速やかに排泄されるため、過剰症の心配はありません。
ただし、ビオチンに関しては、まだ過剰症のデータが少ないのが現状ですので、過度の大量摂取はオススメできません。
ビタミンB群の効果的な摂取方法
ビタミンB群の効果を十分に発揮するために、上手な摂取方法を紹介します。
サプリメントで摂取する
ビタミンB群に含まれる8種類の成分は、肉類、魚介類、野菜、未精製の穀物に幅広く含まれています。
そのため、日々バランスの良い食事を心がけていれば、ビタミンB群が不足する事はありません。
しかし、毎日バランスの良い食事をするのは簡単ではありません。
また、ビタミンB群はすべての成分があって、その効果を十分に発揮する事ができるため、どれか一つでも欠けてしまうと効果が弱まってしまいます。
そこで、ビタミンB群を効果的に摂取するにはサプリメントでの摂取がオススメです。
サプリメントのメリットは手間がかからず、必要な推奨量をサクっと摂取できる点です。
手軽に購入できて、持ち歩く事も可能なので、思いついた時に素早く摂取する事ができます。
摂取量をしっかり守る!
ビタミンB群の成分は、食事から摂取すると過剰症・副作用の心配がほとんど無いのに対し、サプリメントからの大量摂取には様々な過剰症・副作用が報告されています。
ビタミンB群をサプリメントから摂取する場合は、表記されている適量・目安量を守るようにしてください。
ビタミンB群まとめ
ビタミンB群は8種類の成分があり、私たちが生きるためのエネルギー産生に欠かせない栄養素です。
また、老化防止や病気予防、美容効果など様々な働きもしてくれています。
どれか一つだけでは効果を発揮しにくため、バランスの良い食事かサプリメントでの摂取を心掛け、ビタミンB群を複合体で効果的に摂取するようにしましょう。