ビタミンにはたくさんの種類がありますが、その中でも知名度のあるビタミンE。
しかし、このビタミンEにはどんな効果があるのか?
そして、どんな食品に多く含まれているのか?
そんな疑問を解決すべく、オススメの摂取方法なども合わせて、ビタミンEについて解説したいと思います。
ビタミンEとは?
ビタミンE(vitaminE)は、油脂に溶けやすい脂溶性のビタミンです。
体の調子を整えるために重要な役割を持ち、人間にとって欠かせない栄養素の一つとなっています。
ビタミンEの種類
実はビタミンEにはたくさんの種類があります。
大きく分けると2種類に分類され、「トコフェロール」と「トコトリエノール」という2つがあります。
さらに、それぞれにα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類があり、合計8種類に分けられます。
その中でも最も作用の強い物質「α-トコフェロール」を基本的にビタミンEとしています。
「日本人の食事接種基準」などでも、ビタミンEの項目に表記されているのは「α-トコフェロール」の数値になっています。
不妊治療の研究で発見された!?
ビタミンEは1922年に、動物実験にて不妊になる現象を突き詰めた結果、発見された栄養素です。
そのため、ビタミンEの別名「トコフェロール」にはギリシャ語で「子供を産む力を与える」という意味があります。
ビタミンEの効果と働き
ビタミンEの代表的な効果は、その抗酸化性がです。
。
ビタミンEは、油脂性のビタミンなので体にたまりやすい性質があり、人間の細胞膜に常駐しています。
細胞膜を構成する成分である不飽和脂肪酸は、活性酸素の影響を受けて酸化し傷んでいきます。
鉄が酸素の影響を受けてサビていくのと同じです。
そしてこの酸化は厄介なことに、連鎖してしまう(周りの細胞も酸化させる)性質をもっています。
しかし、ビタミンEには、この酸化の連鎖を止める働きがあります。
酸化を止めたビタミンEはその効力を失ってしまいますが、こうして私たちの体は酸化から守られています。
老化防止と病気の予防!
先にも述べたように、ビタミンEの働きは抗酸化作用です。
酸化というのは、サビと同じですので人間の体にとって様々な弊害があります。
細胞が傷んでいるため老化の原因となり、シミやシワの発生。
さらには、ガンや動脈硬化、心筋梗塞など様々な病気を引き起こしやすくなります。
しかしビタミンEには、酸化を止める働きがあるため、シミやシワなどの原因となる老化の防止。
そして、ガンや動脈硬化、心筋梗塞などの病気から私たちを守ってくれる重要な役割を担っています。
血行を良くして、健康な血管を維持
ビタミンEは細胞の抗酸化作用だけでなく、悪玉コレステロール(LDL)の酸化防止効果があります。
悪玉コレステロール(LDL)は、血液中で増えすぎると酸化しやすくなり、血管を傷つけてしまいます。
結果として、血管を狭め動脈硬化などの原因となる恐れがあります。
しかしビタミンEには、この悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防いで、血液の流れを悪くならないようにしてくれる効果があります。
さらに、ビタミンEには毛細血管を拡張し血行を良くする働きがあります。
また、血液中を流れる赤血球の酸化を防ぐ働きもあるため、健康な血液をスムーズに循環させる重要な役目を持っています。
血行が良くなる事で、血行障害からくる冷え性や肩こりの改善。
そして、体のすみずみまで血液が循環する事で肌荒れの予防などに効果があると言われています。
不妊予防と生殖機能の向上
ビタミンEは、不妊症の研究で発見された栄養素です。
そのため、ビタミンEは生殖機能に関してとても重要な役割をもつ栄養素です。
卵巣にはビタミンEがとても多く含まれており、女性ホルモンの分泌と調整に大きく関わっています。 結果として、ビタミンEには妊娠力アップを始め、生理痛や生理不順など月経トラブルを改善してくれる効果もあります。
また、女性ホルモンが減ることで起こる更年期障害の症状の緩和にも効果があるとされており、ビタミンEは女性にとって非常に重要な役割をもつ栄養素のひとつです。
男性にも効果?!EDの改善
ビタミンEが生殖機能へ影響を与えるのは女性だけではありません。
男性ホルモンにもビタミンEはたくさん含まれており、精巣の活動に直接関わっています。
そのため、生殖機能の向上に期待できED(勃起不全)の改善にも効果があると言われています。
このように、ビタミンEには男性、女性ともに生殖活動へ影響を与える効果を持っています。
もし、いま妊活中という夫婦の方は、二人でビタミンEを意識して摂取する事で妊娠への効果が期待できるかもしれません。
ビタミンE不足の症状
ビタミンEは、通常の食生活を送っていれば不足する事はないと言われている栄養素です。
しかし、早産児、未熟児をはじめ、脂肪吸収障害や遺伝性疾患でビタミンE欠乏症となり、ビタミンE不足による溶血性貧血や、まれに神経症状などの異常を起こす報告があります。
溶血性貧血
抗酸化作用を持つビタミンEが不足することで細胞の酸化が進みます。
結果、酸化の原因である活性酸素が赤血球を破壊してしまう事で起こる貧血です。
不妊症
ビタミンEは、不妊症の研究で発見された経緯からビタミンEが不足すると不妊症になる可能性があります。
しかし、研究は動物での報告であり、人間には関連性がないとの声もあります。
健康レベルの低下
ビタミンEは強い抗酸化作用をもつ栄養素ですので、不足する事で体の老化が進み、全体的な健康レベルの低下となる可能性があります。
しかし、通常ビタミンEは不足する事はほとんど無いと言われているので、心配する事はありませんが注意は必要かと思います。
ビタミンEの多い食品(含有量)
ビタミンEを効果的に摂取するために、ビタミンEが多く含まれる食材を紹介します。
一般的な推奨量
まずは、1日に必要とされる一般的なビタミンEの推奨量と上限量です。
男性 | 女性 | |||
---|---|---|---|---|
目安量 (mg/日) | 耐容 上限量 (mg/日) | 目安量 (mg/日) | 耐容 上限量 (mg/日) | |
1~2(歳) | 3.5mg | 150mg | 3.5mg | 150mg |
3~5(歳) | 4.5mg | 200mg | 4.5mg | 200mg | 6~7(歳) | 5.0mg | 300mg | 5.0mg | 300mg |
8~9(歳) | 5.5mg | 350mg | 5.5mg | 350mg |
10~11(歳) | 5.5mg | 450mg | 5.5mg | 450mg |
12~14(歳) | 7.5mg | 650mg | 6.0mg | 600mg |
15~17(歳) | 7.5mg | 750mg | 6.0mg | 650mg |
18~29(歳) | 6.5mg | 800mg | 6.0mg | 650mg |
30~49(歳) | 6.5mg | 900mg | 6.0mg | 700mg |
50~69(歳) | 6.5mg | 850mg | 6.0mg | 700mg |
70以上(歳) | 6.5mg | 750mg | 6.0mg | 650mg |
妊婦 | 6.5mg | – | ||
授乳婦 | 7.0mg | – |
※α-トコフェロール(ビタミンE)のみの数値 ※妊婦、授乳婦では耐容上限量の掲載がありませんが、 耐容上限量がないということではありません。通常時の耐容上限量を参考に、適度な摂取が大切です。
参考:厚生労働省発表 日本人の食事摂取基準(2015年版)
ビタミンEの多い食品 TOP15
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | 煎茶(茶葉) | 64.9mg | 2位 | ひまわり油 | 38.7mg |
3位 | 唐辛子(果実・乾) | 29.8mg |
4位 | アーモンド(フライ) | 29.4mg |
5位 | 綿実油 | 28.3mg |
6位 | 抹茶(粉) | 28.1mg |
7位 | ぶどう油 | 27.5mg |
8位 | 紅花油 | 27.1mg |
9位 | 米ぬか油 | 25.5mg |
10位 | 菊(海苔) | 25mg |
11位 | アユ(養殖・内蔵・焼き) | 23.5mg |
12位 | ヘーゼルナッツ(フライ) | 17.8mg |
13位 | とうもろこし油 | 17.1mg |
14位 | なたね油 | 15.2mg |
15位 | マーガリン | 15.1mg |
※α-トコフェロール(ビタミンE)のみの数値
ビタミンEは植物系油に豊富に含まれている!
ビタミンEが多く含まれる食品の1位は、ダントツの数値で煎茶でした。
しかし、これには注意点があります。
ビタミンEは水に溶けない性質があるため、お茶を入れて飲んだとしても、茶葉に含まれるビタミンEはほとんど摂取できないと考えられます。
摂取量はトップですが、ビタミンEの摂取に煎茶は不向きです。(茶葉を直で食べれば、効果ありですが…)
一方、全体的にランクインの多い植物油!
第2位のひまわり油を始め、植物系油にはビタミンEが多く含まれています。
そのため、通常の食事をしていればビタミンEが不足する事はほとんど無いでしょう。
ビタミンEの過剰摂取と副作用
ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、体に貯まりやすく過剰摂取の心配があります。
しかし、ビタミンEは特殊で、輸送たんぱく質により吸収量をコントロールしてくれる仕組みがあります。
そのため、ビタミンEは過剰摂取による副作用はほとんどありません。
過度な摂取は禁物
ビタミンEには過剰摂取による危険性がほとんど無いといっても、過剰な摂取はオススメできません。
日本人の食事摂取基準(2015年版)でも、1日の摂取量の上限が定められています。
また、体には個人差がある事も忘れてはいけません。
人によっては何らかの副作用が起こる可能性がありますので、摂取量には十分注意しましょう。
実際にサプリメントで多量摂取をした際に、頭痛やむくみなどの体調不良になったという報告もあるそうです。
また、動物実験では骨粗しょう症の発生リスクが高まるというデータもあるようです。
ビタミンEは、サプリメントなどでの必要以上な摂取はしない方がいいと思われます。
ビタミンEの効果的な摂取方法
体にとって重要な役割をもつビタミンE。
その効果を十分に発揮するために、上手な摂取方法を紹介します。
ビタミンCと一緒に摂取する
ビタミンCには、ビタミンEと同じ抗酸化作用があります。
そして、このビタミンCとビタミンEを一緒に摂取する事で、その抗酸化作用がより強力になるという特徴があります。
ビタミンEは、細胞膜を構成する成分である不飽和脂肪酸の酸化の連鎖を止める働きがあります。
しかし、酸化を止めたビタミンEは、そのまま効力を失ってしまいます。
その失った効力を回復してくれる役目を持つのがビタミンCです!
ビタミンCによって、ビタミンEは再び抗酸化力を取り戻し、新たな酸化を防ぐためにその力を発揮します。
まさに、ビタミンEとビタミンCは最強のタッグパートーナーなのです。
しかし、ビタミンCは体に貯まりにくく無くなりやすい栄養素ですので、ビタミンEをフル活用するためにはマメな摂取をする必要があります。
他の抗酸化性栄養素も一緒に
抗酸化作用をもつ栄養素はビタミンE、ビタミンCだけではありません。
代表的なものとして、ビタミンAやポリフェノールなどがあります。
他の栄養素にもそれぞれ特徴があり、ビタミンEだけでは補いきれない分を助けて、体の抗酸化作用をより強力なものにしてくれます。
ビタミンEだけでなく、他の栄養素もバランスよくしっかりと摂取しましょう。
おやつにアーモンド
ビタミンEを多く含む食品として植物系油がありましたが、アーモンドやナッツなどの種実類にもビタミンEが含まれています。
中でもアーモンドには、ビタミンEが100g中に29.4㎎と十分な含有量をもっています。
その為、おやつや間食時にアーモンドを数粒食べる事は、ビタミンEの摂取方法としてとても有効です。
ただし、食べ過ぎには注意です!
アーモンドはとても高カロリーな食品ですので、食べ過ぎると1日の摂取カロリー越えてしまい、他の健康被害を起こしかねません。
ですので、1日おおよそ10粒~20粒をメドに摂取する事が望ましいです。
サプリメントでの摂取
まず、ビタミンEのサプリメントにはいくつかの種類があります。
種類 | 科学名 | 摘出方法 |
---|---|---|
天然 | d-α-トコフェロール | 食品から直接摘出され、製造工程の工夫により安定化されたもの。 |
天然型 | d-α-トコフェロール | 植物油から直接摘出され、酢酸やコハク酸などを使って安定化されたもの。 |
合成 | dl-α-トコフェロール | 石油などから人為的に合成されたもの。 |
サプリメントには上記3種類があり、パッケージのラベルに種類が表記されていたりします。
当然、天然の方が値段が高く、合成は大量生産ができる為に安価で、食品添加物としての使用目的もあります。
サプリメントの効果としても、天然・天然型の方が吸収率が良く、合成の方は吸収率が低くなると言われています。
複合サプリメントがオススメ
個人的には、ビタミンEをサプリメントで摂取する必要はないと考えています。
なぜなら、通常の食事でも十分な摂取量を補えるからです。
しかし、偏食傾向の方やビタミンE摂取量が心配な方は、サプリメントでの摂取もありだと思います。
しかし、その際はビタミンE単体のものではなく、マルチビタミンなどの他の栄養素も一緒に入ったサプリメントを飲む事をオススメします。
ビタミンEを効果的に働かせるには、他の栄養素も必要になってきますので、マルチサプリメントは理にかなった摂取方法です。
食品での効果的な摂取方法
ビタミンEは熱や酸に強く、また脂溶性ビタミンのため、油との相性も良いです。
そして、植物系油にはビタミンEが多く含まれているため、他のビタミンを含む緑黄色野菜などと一緒に調理して食べる事で、効果的にビタミンEを摂取する事ができます。
古い油の使用は注意!
油を使う場合の注意点ですが、古い油はそれ自体が酸化していて、ビタミンEの抗酸化作用が油に使われてしまっている可能性があります。
その場合、ほとんどビタミンEを含まない油となってしまいますので、なるべく新しい油を使うようにしましょう。
多少は不経済にもなりますが、ビタミンEを意識する場合は、小さい目の油を購入して早めに使い切るようにした方がいいでしょう。
また、油を保存する場所も、日のあたらない湿度の低い場所に置き、無駄な酸化を防ぐようにしましょう。
ビタミンEまとめ
ビタミンEは酸化から私たちを守り、健康な細胞や血液を維持してくれています。
生殖機能にも影響し、不妊症などの予防もしてくれると言われており、人間とって欠かすことのできない栄養素の一つです。
一般的な食事をしていれば、不足する事はないと言われているので、日々バランスの良い食事を心がけ、ビタミンEをしっかり摂取しましょう。