みなさんはリコピンという栄養素をご存知でしょうか?
なかなか聞き慣れない人も多いかと思いますが、このリコピンは健康や美容に対してとても効果のある栄養素なんです!
そんなリコピンの効果や働きについて解説していきたいと思います。
リコピンとは?
リコピンはカロテノイドの一種で、水に溶けない脂溶性の性質を持つ赤色の色素です。
強い抗酸化作用をもち、老化防止や生活習慣病にも効果があると言われています。
ちなみに、リコピンはドイツ語で、一般的にはリコペンとも呼ばれます。
トマトが赤いのはリコピンが豊富だから!
リコピンは天然に存在する赤色の色素で、トマトやスイカ、ピンクグレープフルーツに含まれています。
これらの食品が赤いのは、このリコピン(赤色の色素)が豊富だからなんです!
また、見た目が赤ければ赤いほど、リコピンの含有量が高くなるそうです。
カロテノイドの一種
リコピンはカロテノイドの一種ですが、カロテノイドとは主に緑黄色野菜に含まれる色素の総称です。
その数は約600種類以上もあり、有名なところでは、ニンジンなどに含まれるβ(ベータ)-カロテンがあります。
リコピンもその中の1つですが、類を抜いて抗酸化作用が強いため、現在とても注目されている栄養素です。
リコピンの効果と働き
リコピンの代表的な効果は、強力な抗酸化作用が特徴です。
他の抗酸化作用をもつ栄養素と比べると、β-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍もの抗酸化作用を持っています。
さらにリコピンには、コレステロールを下げる働きや、メラニンの生成を抑制する美肌効果など様々な効果があることがわかってきています。
老化防止と病気の予防!
先にも述べたように、リコピンには抗酸化作用があります。
人間の体は、活性酸素の影響を受けて酸化し傷んでいきます。
鉄が酸素の影響を受けてサビていくのと同じです。
こうして体は老化していきシミやシワの発生、さらにガンや心筋梗塞など様々な生活習慣病を引き起こしやすくなります。
しかしリコピンには、この酸化を止める働きがあるため、シミやシワなどの原因となる老化の防止。
そして、ガンや心筋梗塞などの生活習慣病を予防してくれる優れた効果を持っています。
血行を良くして、健康な血管を維持
リコピンには、悪玉コレステロール(LDL)を減らす効果もあります。
悪玉コレステロール(LDL)は、血液中で増えすぎると酸化しやすくなり、血管を傷つけてしまいます。
結果として、血管の老化となり動脈硬化などの原因となる恐れがあります
しかしリコピンには、この悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防いで、血液の流れを悪くならないようにしてくれる効果があります。
動脈硬化を防ぐほかに、血液の流れが良くなる事で、血行障害からくる冷え性や肩こりの改善。
肌荒れの予防にも効果あると期待されています。
美白・美肌に効果!
女性にとって肌の悩みは付き物ですが、リコピンにはそのような肌の悩みを助けてくれる効果があります。
肌が紫外線を浴びると、活性酸素が細胞を攻撃する事でメラニンが発生し、シミの原因となります。
しかしリコピンには、このメラニンの発生を減少させる働きがあります。
また、最近の研究で日焼けの症状を軽減する事が分かってきており、肌の美白効果に期待できるようです。
さらにリコピンには、人の細胞などを構成するコラーゲンの生成を促進し増やす効果があります。
コラーゲンの生成を助けるため、丈夫でハリのある皮膚を作りシワを予防してくれる美肌効果を持っています。
抗酸化作用による細胞の老化防止に加え、メラニンの発生を抑える美白効果、コラーゲンの生成を促進する美肌効果と、リコピンには美しい肌を維持するために、欠かせない効果をもつ栄養素です。
血糖値を下げる!?
まだ研究段階ですが、リコピンには血糖値を下げる効果があり糖尿病にも効果があると考えられています。
マウス実験では、リコピンの投与による血糖値改善の効果を確認していますが、人間にも効果あるとは限らないため、まだはっきりとした効果は研究中のようです。
ただし、リコピンを多く含むトマトを食べたところ、血糖値の改善がみられる事から「リコピンではなくトマトの別の成分が影響してるのではないか?」と考えられています。
ダイエット効果!
ちなみに、リコピンを多く含むトマトにはダイエット効果があります。
数年前には「トマトダイエット」で芸人さんが痩せる事に成功し、話題になった事もありましたね!
京都大大学院農学研究科によると、脂肪肝や高中性脂肪血症などの脂質代謝異常を改善する「13-0x0-ODA」という成分をトマトから発見し、トマトにダイエット効果がある事が科学的に証明されました。
また、リコピン自体にもコレステロールを下げる効果もあるので、トマトダイエットは効果のある方法のようです。
リコピン不足の症状
現在、リコピンの欠乏症については確立されていません。
ただし、リコピンには強い抗酸化作用があるため、不足する事で何らか影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
健康レベルの低下
リコピンが不足する事で体の老化が進み、全体的な健康レベルの低下となる可能性があります。
肌のトラブルや、生活習慣病の発症などを引き起こす可能性が考えられるので注意しましょう。
また、リコピンは体内では作られない栄養素のため、食事やサプリメントからしっかり摂取する必要があります。
リコピンの多い食品(含有量)
リコピンを効果的に摂取するために、リコピンが多く含まれる食材を紹介します。
一般的な推奨量
現在、食事摂取基準などでリコピンの摂取目安量は定められていません。
しかし、最近では1日に15mg以上の摂取が望ましいとされています。
リコピンの多い食品
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | トマトケチャップ | 30mg |
2位 | ローズヒップ | 23.3mg |
3位 | トマトジュース | 15mg | 4位 | ミニトマト | 8.1mg |
5位 | スイカ | 3.2mg |
5位 | ピンクグレープフルーツ | 3.2mg |
7位 | トマト(大玉) | 3.0mg |
8位 | 柿 | 0.7mg |
※トマトケチャップ、トマトジュースはメーカー及び商品によって含有量が多少異なります。
リコピンを多く含むのはトマトケチャップ!
リコピンを多く含むのは、1位トマトケチャップで30㎎でした。
また、天然の食品では、トマトを抜いてバラ科の果実ローズヒップが23.3㎎と多くのリコピンを含んでいます。
ちなみに、トマトは通常の大玉トマトよりも、ミニトマトの方が約2.5倍もリコピンが多く含まれています。
リコピンの過剰摂取と副作用
現在、リコピンの許容上限摂取量は設定されておらず、過剰摂取による副作用などはなく安全性が証明されています。
ただし、リコピンを含む食品の食べ過ぎによって以下の症状が現れる場合があります。
柑皮症
リコピンは着色力の高い色素ですので、食べ過ぎにより柑皮症と呼ばれる手のひらや足の裏がオレンジ色になる皮膚の変色を起こす場合があります。
だだし、柑皮症に害はありませんので、摂取を控える事で症状は改善されます。
腹痛など
人によってはリコピンを含むトマトやスイカの食べ過ぎにより、吐き気、下痢、腹痛等の症状を引き起こす場合があるようです。
こちらも、摂取を控える事で症状は落ち着くようです。
リコピンの効果的な摂取方法
体にとって様々な効果を持つリコピン。
その効果を十分に発揮するために、上手な摂取方法を紹介します。
油で調理する
リコピンは脂溶性の性質を持つため、油との相性も良いです。
また、熱に強い特徴もあるため、オリーブオイルなどでトマトソースにして、パスタやシチューを食べると吸収率が良くなりので効果的です。
生トマトを食べる場合
生トマトを食べてもリコピンは摂取する事ができますが、この場合も油を含むドレッシングやマヨネーズ付けて一緒に食べると吸収率が良くなります。
しかし、生トマトはそのままだと皮が熱く固いので、上手く消化されず吸収量が悪くなってしまいます。
なるべく加熱調理したトマトを食べたいところですね。
トマトジュースで摂取
市販で売られているトマトジュースでも、リコピンをしっかり摂取する事ができます。
1本で1日の目安量(15mg)を摂取する事ができ、時間もかからず簡単なところがオススメです。
ただし、トマトジュースの飲み過ぎは、塩分の摂りすぎになる可能性があります。
最近では、塩分をカットした商品も売られているので、トマトジュースを飲む場合は塩分カットの物を選ぶようにしましょう。
トマトケチャップも効果的!
トマトケチャップは加熱加工してあり、さらに濃縮されているのでリコピンもかなり豊富です。
商品にもよりますが、だいだい大さじ4杯で1日の目安量(15mg)を摂取する事ができます。食生活の中で上手にトマトケチャップを使って、リコピンを効果的に摂取しましょう。
朝食で摂取する
なんとリコピンは、朝にとった方が吸収率が良くなる事がわかったそうです。
そこで、朝にトマトジュースと牛乳を一緒に摂る事で、牛乳の脂肪分により吸収が良くなるうえ、カルシウムを補う事もできるため、効率的でオススメの摂取方法です。
サプリメント
個人的に、一番オススメのリコピン摂取方法は、サプリメントで摂取する事です。
サプリメントのメリットは手間がかからず、必要な推奨量をサクっと摂取できる点です。
毎日トマトを食べたり、トマトジュースを飲むより経済的ですし、料理する手間も省けます。
さらに、持ち歩く事も可能なので、いつでも手軽に摂取できる事が利点です。
また、トマトを食べられないトマト嫌いな方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、サプリメントを活用してリコピンを摂取してください。
他の抗酸化性栄養素も一緒に
抗酸化作用をもつ栄養素はリコピンだけではありません。
代表的なものとして、ビタミンCやビタミンEなどがあります。
抗酸化作用の働きは、栄養素それぞれに特徴があり、リコピンだけでは補いきれない分を助けて、体の抗酸化作用をより強力なものにしてくれます。
また、ビタミンEとリコピンを一緒に摂ると、メラニンを抑える作用が高くなりシミ・そばかすを抑える事による美白効果がいっそう高まるそうです。
リコピンだけでなく、他の栄養素もバランスよくしっかりと摂取しましょう。
リコピンまとめ
リコピンは酸化から私たちを守り、老化防止や生活習慣病の予防をしてくれています。
リコピンは主にトマト(ミニ)に多く含まれ、美容効果やダイエット、血糖値を下げるなどたくさんの効果を持っています。
体内では作られない成分ですので、日々の食生活でトマトを活用したり、サプリメントを飲むなどして上手にリコピンを摂取しましょう。