「アントシアニン」という成分をご存知でしょうか?
アントシアニンは、パソコンやスマホなど電子機器の普及によって、目を酷使することが多くなっている現代人の疲れ目や視力回復に効果があるとされている成分です。
さらに、老化防止の効果もあると言われ、近年注目されています。
そんな健康成分であるアントシアニンについて、詳しく解説していきたいと思います。
アントシアニンとは?
アントシアニン(anthocyanin)はポリフェノールの一種で、植物界に多く存在する青紫色の天然色素です。
植物性染料であるアントシアニジンが、糖や糖鎖と結び付いて形成された配糖体をアントシアニンと言います。
また、植物の花や果実などに含まれる赤・青・紫の色素の総称であるアントシアンは生物学用語で、アントシアニン、アントシアニジンの両方を指します。
植物の色を作る主要成分
植物の花・果実・葉・根・茎の色を作る主要素はアントシアニン色素で、植物の幅広い色を作り出しています。
そもそもアントシアニンの語源は、ギリシャ語のanthos=花とcyanos=青であり、花の青色成分と言う意味を持っています。
実際には、青色だけでなく環境条件(pH、温度、金属イオンなど)によって様々な色彩を作り出します。
例えば、酸性では赤色が強くなり、アルカリ性では青色が強くなっていきます。
このように、アントシアニンの色素は花色を作る主要成分ととなっています。
ポリフェノールの一種
アントシアニンはポリフェノールの一種ですが、ポリフェノールとは多くの植物に存在する色素や苦味成分の総称です。
その種類は5,000種以上もあり、有名なところでは、緑茶などに含まれるカテキンや大豆などに含まれるイソフラノボンがあります。
ポリフェノールは、植物が紫外線による酸化やウイルスから身を守るために作られており、老化や病気の原因となる活性酸素を除去する効果を持っています。
アントシアニンの効果と働き
アントシアニンの代表的な効果は、目の健康・機能維持です。
目の網膜にある細胞を活性化させる働きがあるため、目を酷使する事の多い現代人が積極的に摂りたい栄養素のひとつです。
また、強い抗酸化作用をもっているため、老化防止や生活習慣病などの病気予防にも効果があります。
眼精疲労・視力回復に効果
アントシアニンには、目の網膜にある紫色の色素ロドプシンの再合成を促進する働きがあります。
ロドプシンは光の情報を信号化し、脳に伝える事で人は目が見えると感じます。
そして、このロドプシンは光を受けるたびに分解され、再合成されて再びロドプシンとなる仕組になっています。
しかし、目を長時間酷使し続けると、この再合成が間に合わずにロドプシンは減少していきます。
ロドプシンが減少すると、目のかすみ、痛みなどの眼精疲労や視力低下などの症状を起こしてしまいます。
しかし、アントシアニンにはこのロドプシンの再合成を促進する働きがあるため、眼精疲労・視力回復に効果があると言われています。
また、この効果には高い即効性があるとされ、摂取してから4時間ほどで眼精疲労などの症状改善に効果みられるようです。
ただし、効果の消失も早く、24時間ほどでその効果はなくなってしまうと言われています。
眼病予防の効果
アントシアニンには、目の機能維持だけでなく、目に関わる眼病を予防する効果もあります。
アントシアニンの持つ抗酸化作用は、体が酸化する事によって起こる老化や病気の予防に効果があります。
そのため、酸化(加齢)などによって引き起こされる可能性がある、老眼や白内障、緑内障といった眼病の予防になると言われています。
- 老眼
- 白内障
- 緑内障
老眼とは、加齢にともない、目のピント調節機能が低下し、近くのものが見えにくくなる症状です。 一般的には40代からの症状と言われていますが、スマホ・パソコンの普及により若年層にも老眼の症状がみられはじめています。
白内障とは、目の水晶体が白く濁ってしまい、視力が低下してしまう病気です。 加齢に伴って発症リスクが高まり、80代ではほぼすべての人が白内障になると言われています。
緑内障とは、何らかの原因によって視神経が傷付き、視力低下や視野が欠損してしまう病気です。 40歳以上の20人に1人の割合で緑内障を発症していると言われています。
老化防止と病気の予防!
上記でも説明したように、アントシアニンには抗酸化作用があります。
この抗酸化作用は、根本的な老化防止や病気予防に対してとても効果があります。
そのため、健康・美容目的での老化防止や、ガン・動脈硬化・生活習慣病などの病気の予防にも効果を発揮します。
肥満・メタボリックシンドロームの予防
アントシアニンには、内臓脂肪の蓄積を防ぎ、肥満・メタボリックシンドロームを予防する効果があります。
メタボリックシンドロームは、食べ過ぎや生活習慣の乱れによって内臓に脂肪が溜まりやすくなった状態で、高血圧・動脈硬化・糖尿病などの病気の要因ともなります。
研究結果によると、アントシアニンを含むエサを与えたマウスでは、脂肪の合成が低下し、内蔵脂肪・血中脂肪の蓄積や血糖値の上昇を抑えられるという事がわかりました。
そのため、アントシアニンは、肥満・メタボリックシンドロームを防ぐ有効な成分であるとして注目されています。
毛細血管の保護・強化
アントシアニンに含まれるデルフィニジンという物質には、血管を保護・強化し、毛細血管のトラブルを正常化する高い効果があります。
また、細胞に栄養や酸素を運ぶために、毛細血管は適度な透過性である必要があります。 アントシアニンには、毛細血管を適度な透過性に保つ働きがあり、血管の保護・強化だけでなく循環機能の改善にも効果があります。
結果として、毛細血管がもろくなり、眼底出血・硝子体出血となる症状である糖尿病網膜症の予防に効果があると言われています。
また、血行が良くなる事により、目元のクマ改善や肌荒れ予防などの美容効果、冷え性や肩こりの改善にも期待ができます。
花粉症の予防にも効果あり!
季節によって訪れる、とてもやっかいな花粉症。
アントシアニンは、そんな花粉症対策にも効果があります。
そもそも花粉症というのは、体に入ってきた異物(花粉)を有害な物質と判断して起こる免疫の反応です。
花粉が体内に入ると、ヒスタミンという物質を分泌して花粉を追い出そうとして、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状が起こります。
しかし、アントシアニンには、このヒスタミンを減少させ花粉症の症状を抑える働きがあります。
研究結果によると、花粉症にかかりやすいマウスにアントシアニンを含むエサと通常のエサを与えたところ、アントシアニンを含むエサを食べたマウスは、ヒスタミンの量が60%も減少している事がわかり、花粉症対策にアントシアニンが有効という結果が得られたそうです。
アントシアニンの多い食品(含有量)
アントシアニンを効果的に摂取するために、アントシアニンが多く含まれる食材を紹介します。
アントシアニンの多い食品 TOP15
食品名 | 含有量(100g) | |
---|---|---|
1位 | アロニア | 1,480mg |
2位 | エルダーベリー | 1,375mg |
3位 | ブルーベリー(野生種) | 486.5mg |
4位 | ブルーベリー(栽培種) | 386.6mg |
5位 | ブラックカシス | 476mg |
6位 | ブラックベリー | 245mg |
7位 | 紫キャベツ | 322mg |
8位 | クランベリー | 140mg |
9位 | サクランボ | 122mg |
10位 | ぶどう(コンコード) | 120.1mg |
11位 | ナス | 85.7mg |
12位 | 赤たまねぎ | 48.5mg |
13位 | 黒豆 | 44.5mg |
14位 | ぶどう(レッド) | 26.7mg |
15位 | イチゴ | 21.2mg |
※ブルーベリー、カシス等の含有量は、産地・品種によって大きく異なる場合がありますので、あくまで参考としてください。
アントシアニンはベリー類に多く含まれる!
上記のランキングをご覧の通り、アントシアニンを多く含む食品はブルーベリー(ビルベリー)などのベリー類に多いです。
1位のアロニアも別名チョークベリーと呼ばれるベリー類の一種で、アントシアニンの含有量もブルーベリーの4倍以上と高い数値となっています。
また、アントシニンは青紫の色素ですので、ナスや紫キャベツなどの紫色の野菜や果物にも含まれてる傾向があります。
1日の摂取目安量
現在、食事摂取基準などでアントシアニンの摂取目安量は定められていません。
しかし最近では、目への効果が期待できる量は、1日に40~90mg程の摂取が必要とされています。
果実のブルーベリー(ビルベリー)で考えると、1粒に約4mgのアントシアニンが含まれていますので、だいたい10粒~20粒を食べると目安量をカバーできる計算になります。
アントシアニン不足の症状
現在、アントシアニンの欠乏症については確立されていません。
しかし、アントシアニンには目の健康・機能維持に有効な成分であるとともに、強い抗酸化作用もあるため、可能な限り積極的に摂取する事をオススメします。
アントシアニンの過剰摂取と副作用
現在、アントシアニンの許容上限摂取量は設定されておらず、過剰摂取による健康被害などの報告はありません。
ただし、アントシニンを含む食品の食べ過ぎによって、胃の不快感、痛み、肌荒れなどの症状を引き起こす場合があるようです
また、妊娠中の方は注意しなくてはいけません。 妊娠中のアントシアニンを多く含む健康食品の摂取により、胎児が動脈管早期収縮を生じたという報告が日本でもあるようです。
何の食品でもそうですが、どんな健康食品でも食べ過ぎは体に良くありませんので、極端な過剰摂取はしないようにしましょう。
アントシアニンの効果的な摂取方法
目の機能維持をはじめ、健康や美容にとても効果のあるアントシアニン。 その効果を十分に発揮するために、上手な摂取方法を紹介します。
アントシアニンを含む食品を食べる
日々の食事にアントシアニンを含む食材を取り入れる事で、効果的にアントシアニンを摂取する事ができます。
アントシアニンは、ブルーベリー(ビルベリー)をはじめとしたベリー類の果実や、ナス、紫キャベツ、紫イモなどの紫色をした野菜などに多く含まれています。
オススメなのは、アントシアニンの含有量が多いブルーベリーです。 品種などにもよりますが、スーパーで1袋300円ほどで購入する事ができます。
また、ブルーベリージャムを活用するのもオススメです。 ジャムであれば、毎日コツコツとブルーベリーを食べるより断然楽ですし、保存がきくのもメリットです。 ただし、多少高価にはなりますが、素材が100%に近いものを選ぶようにしてくださいね。
サプリメントで摂取する
個人的に一番オススメのアントシアニン摂取方法は、サプリメントで摂取する事です。
サプリメントのメリットは手間がかからず、必要な推奨量をサクっと摂取できる点です。
毎日ブルーベリーなどを食べたり、食べる準備をする手間も省け、経済的にも優しいです。
さらに、持ち歩く事も可能なので、いつでも手軽に摂取できる事が利点です。
また、ブルーベリーを食べられないなど、アントシアニンを含む食材が苦手な方もいらっしゃるでしょう。 そのような方は、サプリメントを活用してアントシアニンを摂取してみてください。
こまめに摂取する
アントシアニンは、摂取してから4時間ほどで効果が表れますが、24時間ほどでその効果がなくなってしまう特徴があります。
そのため、日々の継続した摂取が必要になります。
毎日、朝食後と就寝前に摂取するなどの習慣を付けるといいでしょう。
ただし、サプリメントなどを活用する場合は、記載されている摂取目安量を守るようにしてください。
一緒に摂りたい栄養素
アントシアニンがいくら優れている成分だとしても、単体ではその効果を十分に発揮できません。 サッカーで例えるなら、一人だけ優秀な選手(アントシアニン)がいても、一人で試合に勝つ事はできませんよね?
栄養素も他の優秀な仲間がいて、体内でその効果を十分に発揮する事ができます。
ルテインと一緒に摂取する
アントシアニンと並んで、目に良い成分として有名なのがルテインです。
アントシアニンは目の機能維持に有効な成分に対し、ルテインはスマホなどから発せられるブルーライトなど有害な光を吸収し目を保護する効果があります。
そこで、アントシアニンとルテインを一緒に摂取する事により、目の健康・機能維持に高い効果を発揮させる事ができます。
ビタミンA(β-カロテン)と一緒に摂取する
ビタミンAは、夜盲症やドライアイなど目の病気予防や機能を維持する働きを持つ成分です。
さらに、にんじんなどの緑黄色野菜から摂取したβ-カロテン(ビタミンA)には強力な抗酸化作用があります。
そのため、目の老化や病気予防などアントシニンとの相乗効果により、その働きをより強力なものにしてくれる効果があります。
ビタミンCと一緒に摂取する
ビタミンCは、強力な抗酸化作用を持つ成分の一つです。
アントシアニンは酸性で安定する特徴があり、ビタミンCとアントシアニンの持つ抗酸化作用を併せる事で効果が数倍にアップすると言われ、老化防止や病気の予防にとても効果的です。
また、目の水晶体にはビタミンCが含まれており、積極的にビタミンCを摂取する事で白内障の発生率が低くなるという調査結果もあります。
アントシアニンとビタミンCは、強力なタッグパートーナーとも言える成分ですので、一緒に摂取する事をオススメします。
他の栄養素も一緒に
目の健康や機能維持の効果を持つ栄養素は、アントシアニンやルテインだけではありません。
他にも、ゼアキサンチン、クロセチン、アスタキサンチン、DHAなどがあります。
栄養素の持つ働きにはそれぞれに特徴があり、アントシアニンなど一つの成分だけでは補いきれない分を助けて、体の健康をより強力なものにしてくれます。
アントシアニンだけに頼るのではなく、他の栄養素もバランスよくしっかりと摂取する事が大事です。
まとめ
アントシアニンは、目の健康・機能維持に効果があり、目を酷使する事の多い現代人にとって積極的に摂りたい成分です。
また、強力な抗酸化作用も持っているため、老化防止や病気の予防にも効果があります。
十分な効果を発揮させるためには、継続的な摂取がかかせません。 サプリメントなどを上手く活用して、日々効果的にアントシアニンを摂取して健康的な毎日をすごしましょう!
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