みなさんは、「セレン」という栄養素をご存知ですか?

おそらく、ほとんどの人は聞いたこともないでしょう。

しかし、このセレンには、老化防止や病気の予防などの効果があり、積極的にとりたい栄養素のひとつなんですよ!

そこで今回は、このセレンについて詳しく解説していきます!



セレンとは?

栄養素だと思っているとビックリするかもしれませんが、セレンって実は金属なんです!

1817年にスウェーデンの化学者イェンス・ベルセリウスよって発見された元素で、原子番号34番の金属元素になります。

古くから毒性の強い元素として知られていましたが、1957年に人間にとって必要不可欠な微量元素であるということが研究で明らかになりました。

体内の抗酸化作用に重要な役割を持つ、酵素やたんぱく質の一部を構成しており、セレンは必須ミネラル16種の一つとなっています。

ちなみに、セレンはギリシャ神話の月である「女神セレネ」にちなんで、セレンと名付けられました。

セレンの効果

セレンには、以下のような効果があります。

  • 老化や病気の予防
  • セレンは、体を酸化させる原因となる「活性酸素」を除去する酵素を作る成分のひとつで、体の酸化を防ぎ老化や病気を予防する効果があります。

  • 甲状腺ホルモンの働きを保つ
  • セレンは、体の代謝に関わる「甲状腺ホルモン」の酵素をつくる成分のひとつで、体調を整えたり、成長や発育に欠かせません。

  • ガンを予防する
  • セレンには、ガンの発生を予防する効果があると言われています。
    特に「前立腺ガン」や「大腸ガン」など特定のガンに対して、発症リスクが低下するという報告があるようです。

セレンの多い食品

セレンが多く含まれる食材を紹介します。

セレンの多い食品 TOP10

食品名 含有量(100g)
1位 かつお節 320μg
2位 からし(粉) 290μg
3位 豚(じん臓) 240ug
4位 牛(じん臓) 210ug
5位 あんこう(きも) 200ug
6位 とびうお(焼き干し) 140ug
6位 魚醤油(いしる) 140ug
8位 すけとうだら(タラコ) 130ug
9位 みなみまぐろ(脂身) 120ug
9位 とびうお(煮干し) 120ug

※成分量の単位μgは100万分の1グラムを表します

参考:食品成分データベース(文部科学省)

セレンは魚介類に豊富!

セレンは、魚介類や動物の内臓に多く含まれています。

また、トップ10には入りませんでしたが、卵や肉類にもセレンは含まれており、全体として動物性食品にはセレンが豊富です。

1日の摂取量

1日に必要とされるセレンの推奨量と上限量です。

セレンの食事摂取基準(ug/日)

年齢 男性 女性
推定平均 必要量 推奨量 目安量 上限量 推定平均 必要量 推奨量 目安量 上限量
0~5(月) 15 15
6~11(月) 15 15
1~2(歳) 10 10 80 10 10 70
3~5(歳) 10 15 110 10 10 110
6~7(歳) 15 15 150 15 15 150
8~9(歳) 15 20 190 15 20 180
10~11(歳) 20 25 240 20 25 240
12~14(歳) 25 30 330 25 30 320
15~17(歳) 30 35 400 20 25 350
18~29(歳) 25 30 420 20 25 330
30~49(歳) 25 30 460 20 25 350
50~69(歳) 25 30 440 20 25 350
70以上(歳) 25 30 400 20 25 300
妊婦(付加量) +5 +5
授乳婦(付加量) +15 +20

参考:厚生労働省発表 日本人の食事摂取基準(2015年版)

セレンが不足すると?

日本で通常の食生活をしていれば、セレンが不足することはありません。

ただし、「完全静脈栄養」を行っている患者や、土壌中のセレン濃度が極端に低い地域では摂取不足が起こる可能性があります。

セレン不足の症状

セレンが不足すると、以下のような欠乏症を起こします。

  • 過酸化物による細胞障害
  • 克山病(心筋症の一種)
  • 下肢の筋肉痛
  • 皮膚炎
  • 爪の白色化
  • 心筋障害
  • カシン・ベック症 (地方病性変形性骨軟骨関節症)
  • 発がんリスクの増加

セレンの副作用

セレンは微量ミネラルの中でも毒性が強い栄養素です。

また、必要量と中毒量の値の差があまりないため、サプリメントなどでの過剰摂取には注意しなければなりません。

セレンを慢性的に過剰摂取すると、以下のような過剰症(副作用)を起こします。

  • 爪の変形
  • 脱毛
  • 胃腸障害
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 疲労感
  • 焦燥感
  • 末梢神経障害
  • 皮膚症状

さらに、セレンをグラム単位で大量摂取すると、以下のような重い過剰症(副作用)を起こします。

  • 重症の胃腸障害
  • 神経障害
  • 心筋梗塞
  • 急性の呼吸困難
  • 腎不全

また、妊娠中の方は、胎児にも影響を与える可能性があるため、セレンの過剰摂取には十分注意するようにしましょう。

詳しいセレンの1日の上限量は、セレンの食事摂取基準をご覧ください。

セレンの効果的な摂取方法

セレンは、日本における通常の食生活をしていれば不足することはありません。

意識して摂取したい人は、魚介類や肉類(主に内臓系)などの動物性食品を積極的に食べるとよいでしょう。

ただし、上記の食品を過剰摂取せずに、バランスの良い食事を心掛けましょう。

まとめ

セレンは、老化防止や病気の予防、そして体の機能をサポートし発育にも欠かせない必須ミネラル16種の一つです。

主に魚介類や肉類に多く含まれていますが、通常の食生活をしてれば不足することはないでしょう。

日々バランスよい食事を行い、継続的にセレンを摂取して健康的な毎日をすごしましょう!